〜読み直し感想文〜
『君は一万円札を破れるか?』
タイトルのインパクトが強いので、読まれた方も多いのではないでしょうか?
『年収や貯金額で人の価値が決まる』と思っているとしたら、完全なるお金の奴隷です!気をつけてください。もしもお金の奴隷を脱したいのであれば、この本を読むことをお勧めします。
お金に絶対的な価値はあるのか?
まず、お金の成り立ちから教えてくれます。そして、金本位制が廃止され、現代の信用創造というお金の仕組みを理解できます。
信用創造で自由にお金を増やすことができる人たちがいるとしたら?
本当は闇金の方が真っ当なビジネスだとしたら?
そして、デフレやインフレがワザと起こされているとしたら?
お金への価値観がどんどん変わってくると思います。
もともと、お金は価値の交換手段であって、お金自体に価値はないのです。金本位制では、希少価値のある金と兌換性がありましたが、既に廃止されています。ですから現代のお金は、みんなが価値を共通認識することだけで成り立っているのです。
価値と価値の物々交換だと大変だから、お金を使っているだけなのです。
本来、価値があるのはお金ではなく、『私達が創造する価値』の方にあるのです。
情報空間
現代社会では切っても切れないお金との関係性。今後、デジタル通貨が加速されますが、情報価値と物理価値を理解しておくことも重要な点です。物理空間での生産性は、限界効用が働きます。
印刷技術がなかった時代は、手書きで書物を書き写していました。一度で一冊しか増やせなかったわけです。それが、印刷技術のおかげで、一度に何冊も出版できるようになったわけです。ですが、それでも紙代、インク代、配送代など、物理的な制約を多く受けています。しかし、電子出版のような情報空間では、一度出版してしまえば、無限に増やすことができますし、配送コストもありません。しかも、サーバーや電気代はかかるにしても、工場のような大掛かりな場所は不要です。このようなことはいくらでも出てきますが、要するに、物理空間での価値と情報空間での価値を分けなければ、今後、マネー格差がとんでもなく広がってしまうのです。
そういった規制については、国際レベルでの協調が必要になってくるところです。
逆な見方をすれば、そういった規制がなければ、情報空間で稼ぐ方がコストを抑え、理論上は無限に収益を増やせてしまうということです。
資産運用
また、資産運用についても触れてくれています。よく『物価』という言葉を聞きます。そして『物価が上がった』と言われます。これは嘘です。物価が上がったのではなく、円(お金)の価値が下がったのです。私がまだ小さかった頃は、缶ジュースは100円でした。いつの間にか110円になり、今では130円です。消費税が含まれるようになったとしても、値上がりです。では、缶ジュースの価値が変わったのでしょうか?
原材料が値上がりしたのかもしれません。では、その、原材料自体の価値は変わったのでしょうか?
企業努力により、効率化によるコストカットを実現しているはずです。
ですから実際には缶ジュースの価格が上がったのではなく、お金の方の価値が下がったのです。これがインフレです。物価上昇指数というようですが、お金の価値を目減りさせていくということです。
別な味方をすれば、「現金タンス預金は無意味だから、どんどん使ってね」ということです。
タンス預金では、お金の価値は減っていく一方です。銀行預金も当てになりません。
ですから、目減りしない資産運用が必要です。
それが、金などの貴金属、目利きできるなら腕時計、宝石類、ビンテージ類、コレクターズアイテムなど。物によってはすぐに現金化は難しいかもしれませんが、趣味と実益を兼ね備えれば、知らぬ間に資産価値が高まっているはずです。
小学生の頃に買った田宮模型のポルシェ959というラリー仕様のラジコンカーは、当時でも高額な物で20,000円くらいしましたが、今では未組立キットは100,000円以上で取引されています。
およそ5倍です。缶ジュースの価格は単なるインフレによるものですが、ビンテージ、コレクターズアイテムは希少性などで価格が高騰していくのです。こういったものは、復刻版ではダメなのです。『当時のもの』に、拘りがあるのです。
目利きできるのであれば、こういったビンテージ、コレクターズアイテムのような物への投資がお勧めです。
お金に付加された役割
お金には人を支配する役割が備わってしまった。そして、そのお金を増やすことができる人たちがいる。本来、価値の交換手段でしかないはずのお金が、お金でお金を増やすことができてしまう。
もしも、そんな支配から脱したいのであれば、あなた自身の価値を高めること。また、普遍的な価値のあるものに投資をするのです。
真の自由
そして、やはり一番の投資は、自分自身への自己投資です。私達自身が創造する価値を高めることです。そうすれば自ずと交換手段のお金は手に入ってきます。ただし、闇雲にやってもスキルアップビジネスの餌食になりかねません。
ですから、ゴール設定が必要になるのです。
後半はかなり踏み込んだコーチングの内容になっています。
支配ツールのお金に束縛されずに、自分自身がやりたいことをやる。他人の価値観やモノサシに惑わされずに、自分自身を由りどころとする。それが真の『自由』なのです。
社会の不合理も突き詰めていくと『お金のため』に突き当たることが多々あります。他人を踏み台にしてでも、私服を肥やす。現代の戦争もそうです。儲からなければやらない。
そんな『お金のための人生』ではなく、自分自身の価値や創造する付加価値を追求してみてください。この世の中で比較できないくらい価値のあるあなた自身が他人のために価値を提供すればよいのです。
お金という現代社会では切り離せないものですが、そこから真の自由や生き方まで学べる一冊になっています。